「私達の手わざのコダワリとのコラボレーションで、完成しました」東京都杉並区K様
「手わざのコダワリ」が随所に映える優美な邸宅
新しい建築技術と古き良きものとの巧みな共演
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『手わざのコダワリ』とのコラボレーション
今回、K様邸を設計した、K⁺A設計顧問で建築家の小畑先生とインテリアコーディネーターの百瀬さんはもちろんですが、暮石さんの総合プロデュースと、工芸作家のK様ご夫婦の『手わざのコダワリ』とのコラボレーションなしには完成しえなかったお住いです。
特に内装の仕様や、建具類等は得意技が活かされ、必見です。 -
和室へ入るドアを開けると、内側には和室の建具と同じ「木版手摺り」の襖紙が貼ってあります。
右の写真は、1階玄関ホールから坪庭をみたときのものです。空間の広がりを感じさせてくれます。
手前の床材は、サクラ無塗装材に天然漆で拭漆仕上げを施しました。
スリット風の開口部からさしこむやわらかな光で、ニッチをあしらった空間にしっとりとした陰影との共演を奏でています。 -
床は土間風にタイルの敷詰、天井は黒箔(いぶし銀箔)貼り仕上げです。
窓はスリット風にし、建具壁面を柔らかく照らしています。 -
和室には下地窓を設計しました。奥には坪庭が見えます。
1階の接客応接室の土間スペースと、和室を仕切る建具の和室側には手漉き和紙に「木版手摺り」を施した襖紙(東京松屋)を使用しています。 -
1階応接室側の建具には「金唐紙・空打ち」を使用しています。本来、金唐紙(きんからかみ)とは、和紙に金属箔(金箔・銀箔・錫箔等)をはり、版木に当てて凹凸文様を打ち出し、彩色をほどこした高級壁紙で、旧岩崎邸や国会議事堂の壁紙として使われています。
全てを手作りで製作する、日本が誇る美しい伝統工芸品ですが、今回はあえて箔や彩色を使わない「空打ち」という技法を使いました。
自然光によりエンボス加工表面に品格ある優しい浮彫感を与え、時を超えた普遍的優美さを感じさせます。
新しい建築技術と建材等に加え、生活実感と経年変化を大切にした仕上げ素材や空間構成、視覚的にもイメージを追想させる、フランスの哲学者ガストン・バシュラールの著書「空間の詩学」の時空間の表現を感じさせる住まいです。 -
旧家屋で使われてきた波板の型ガラス、照明器具やさりげなく置かれた生活道具(昔のミシンやガスストーブ)等、記憶を持つ調度品を巧みに採り入れた感性にも魅了させられます。
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室内空間全体の明るさも、現在の一般住宅からすると、若干暗く感じるかもしれません。
自然光(採光)・人工光(照明)を含め、かつて日本人が生活してきた空間を表現してきた、谷崎純一郎の「陰翳礼賛」の世界感を彷彿させてくれます。
1階の和室の応接室を含め、2階のリビング・ダイニングは落ち着いた、気持ちのいい世界へ導いてくれる空間です。 -
2階ダイニング建具のガラス戸は、旧家屋で使われていた波板の型ガラスをリューアル活用したものです。また、2階ダイニングテーブルのコードペンダント照明のシェードは陶磁器製で、温かみのある空間を演出しています。
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2階のリビングから3階への吹き抜け空間にアクセントを与えている「あらわしの化粧梁」にも以前のお住まいの梁を再活用しています。空間にひと味違う深みと、何か懐かしい思いを与えてくれます。2階吹き抜けには、上部ハイサイドライトが配され、やわらかな光が降り注ぎます。
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ここで自画自賛になってしまいますが、今回ご夫婦がK⁺Aへこころ動かされたのは、担当者がご提案(2案)の際、日頃愛用の鉛筆(ステッドラー STAEDTLER)で描いた、手描きの外観パースがあったからだそうです。
その作品をご覧いただいた際は、『鉛筆のチカラ』というお褒めのお言葉を頂けました。
ご夫婦のありがたいお言葉に、大変恐縮に思った次第です。 -
お施主様のご紹介
施主であられるご夫婦は、共に工芸作家で、木や漆を素材として、家具や雑器を木地から製作されています。
また、住空間・公共空間の金箔工事や漆を施した玄関扉などの内装工事も多く手がけられており、ご夫婦は、『スタジオ温』をユニットで主宰されております。
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