コラム
狭小住宅を計画ならエレベーターの設置も検討の一つ
  • 狭小住宅で3階建てをご計画なら、エレベーターの設置も検討の一つです。
    狭小住宅で3階建てをご計画なら、エレベーターの設置も検討の一つです。
    狭小住宅をご計画の際は、ホームエレベーターの設置もご検討されてみては如何でしょうか。狭小住宅にエレベーターの設置は贅沢に感じるかもしれませんが、日頃の生活を便利で快適にする設備の一つです。 そこで狭小住宅にエレベーターを設置する際のポイントを解説します。
  • 狭小住宅にエレベーターが本当に必要でしょうか。
    狭小住宅にエレベーターが本当に必要でしょうか。
    首都圏の狭小住宅は3階建ての間取りプランも多く、日常の生活では上の階に荷物を運ぶ機会も多くなります。もし狭小地でカーポートが取れなければ、1階にビルトインガレージを設け、2階にリビング・ダイニング、3階に寝室や子供室になる場合もあります。
    また屋上を設け、ルーフバルコニーを物干しスペースや趣味のルーフガーデンを設ける場合もあります。もし2階にリビングやダイニング・キッチンを設けた間取りの場合は、食材や日用品を買い物のたびに2階まで運ばなければなりません。また3階建てで最上階まで階段で上るのは、かなりの体力を使います。こうした狭小住宅でも、エレベーターがあれば上り下りはとても楽になります。このように考えますと、狭小住宅でのエレベーターは決して贅沢ではなく、毎日の生活をサポートする実用性の高い設備です。
  • さらにエレベーターがあれば老後も安心した生活が送れます。
    さらにエレベーターがあれば老後も安心した生活が送れます。
    エレベーターがあれば、いずれ迎える老後も安心して狭小住宅に住むことができます。残念ながら老後は2階へ階段で上がることが非常に難しくなります。その為、もし2階に寝室があれば、老後は1階に寝起きする場所を作る間取りプランが多くなります。 スペースに余裕があれば可能ですが、面積が限られた狭小住宅では難しいことが多いことです。そこで計画当初からホームエレベーターの設置を計画しておけば、老後も2階へ上がりやすく寝室をそのまま使うことが可能です。
    さらに洗濯物を干す場所が2階のバルコニーや3階屋上の物干しスペース等に、老後に濡れた重い洗濯物を持って階段を上がるのは困難です。しかしこうした場合もホームエレベーターがあれば、老後も無理なく洗濯物を持って2階~3階~屋上にも上がれます。エレベーターのある3階建て狭小住宅なら、将来さらに生活がサポートされ末永く住める住まいになるのです。
  • ホームエレベーターは計画段階からの設置に関しては十分に実現可能です。
    ホームエレベーターは計画段階からの設置に関しては十分に実現可能です。
    実際に狭小住宅にホームエレベーターを設けることは、広さや予算が必要で難しいと思う方がいるかもしれません。しかし新築・建替え時にエレベーターを検討すれば、実現する可能性は大です。ホームエレベーターを設置する広さは階段よりも省スペースで造れます。
    たとえば2人乗りのエレベーターなら0.7〜1畳と、階段の2畳より少ないスペースで設置できるのです。また初期費用はある程度かかりますが、新築時なら住宅ローンに組み込むことができます。月払いにすると数千円程度のプラスで済むことも可能で、極端に大きな負担にはなりません。狭小住宅をご計画するなら一度、エレベーター付きの間取りプランや見積もりを提案してもらうことも一案でしょう。
  • なおホームエレベーターの設置には条件があります。
    なおホームエレベーターの設置には条件があります。
    ホームエレベーターは、業務用と異なる規制があります。設置には、エレベーター用の確認申請が必要となります。ホームエレベーターとは、戸建住宅に設置する2~3人乗りの家庭用エレベーターのことで、業務用とは区別されています。主に高齢者・身体障害者などが住む住宅に利用されているケースが多いですが、3階建ての住宅では利用者によらず設置する場合があります。
    ホームエレベーターには、走行範囲が最下階床から最上階床までの距離が10m以下、走行速度30m/分以下、積載重量200㎏以下、エレベーター床面積1.1㎡以下という規制があります。なお、ホームエレベーターには、ワイヤーロープをモーターで巻き上げる「ロープ方式」と、籠を下から油圧ジャッキで上げ下げする「油圧式」があります。
    なおホームエレベーターは、利用者が同一家屋内に居住する家族が対象で、設置場所は個人住宅内と法律で決められています。住居と店舗・事務所との共有部分には設置できませんので注意が必要です。
    またエレベーターの昇降路(シャフト)部分の床面積は容積率の計算からは除外されますが、エレベーター用の確認申請と完了検査が必要となります。所有者は、毎年1回の法定点検が義務付けられているため、メーカーとのメンテナンス契約を結ぶことになります。
  • 設計段階で注意することがあります。
    木造3階建てで、ホームエレベーターを計画する際は、まず防火区画の適用を受けるかどうかを検討する必要があります。準防火地域内で延床面積が200㎡以下であれば適用をうけません。200㎡を超える場合、エレベーター扉前付近を「遮炎性能」「遮煙性能」のどちらも満たす防火設備で区画する必要があります。
    またエレベーターは籠の両側に設置されたガイドレールに沿って上下します。このガイドレールは建物躯体に取り付けられるため、建物躯体がしっかりしていなければなりません。
    このため木造では耐力壁量を割り増したり、エレベータシャフト周囲の床を剛床にするなど対策を施すことが望ましくなります。
    さらに確認申請では、建物とは別にエレベーター用の確認申請と完了検査が必要です。
    また建築基準法では所有者に法定点検が義務付けられています。
    このことは、ホームエレベーターが増改築でも設置することを意味しており、必ずしも新築時に設置する必要はありません。ただし計画段階からエレベーター設置を想定した空間を確保しておき、当初は吹き吹抜けや物入れなどとして利用するなどの対応が必要です。
  • ホームエレベーターを設置するためにはコストの確認が必要です。
    ホームエレベーターを設置するためにはコストの確認が必要です。
    ホームエレベーターを設置するためにかかるイニシアルコスト(初期費用)は、300万円~600万円といわれています。初期費用の内訳は、大きく「①本体価格」「②設置工事費用」「③建築確認申請費用」の3つに分けられます。さらにランニングコスト(維持費)は、年間7~10万円ほどです。①の本体価格帯は、250万円~550万円ほどが一般的ですが、狭小住宅向きのコンパクトなエレベーターは200万円ほどが目安です。なお建物の構造で、鉄骨造・RC造よりも、木造のほうが本体価格は若干高くなります。
    ランニングコストの内訳は、「油圧式」の場合、大きく「①電気代」「②オイル交換代」「③メンテナンス費用」「④固定資産税」の4つに分けられます。ホームエレベーターは定期的に点検などのメンテナンスが必要です。 そのため、エレベーター会社によっては「年1~2回の法定点検」「故障出動、緊急救出」「バッテリーの無償交換」等のメンテナンス契約もあります。③のメンテナンスは商品シリーズやエレベーターの使用頻度によって異なりますが、年47,300円~70,400円くらいです。④の固定資産税の評価額の細かい算定基準は公開されていないため、正確な金額は市町村(東京23区の場合は東京都)の家屋調査を経て、納税通知書が届くまで分かりません。ちなみに年間で2万円ほど高くなったとの情報もあります。
  • ホームエレベーターは将来的な家族の生活スタイルや予算の考慮が必要です。
    1日の中で数回程度の階段の上り下りであれば、負担に感じることは少ないですが、何度も重なると小さなストレスが積み重なって不便に感じるポイントでもあります。ホームエレベーターを設置すると移動が格段と楽にはなりますが、実際にはコスト面などのデメリットもあります。将来的なご家族の生活スタイルや予算も十分考慮したうえで、快適に生活できるホームエレベーターの設置をご検討ください。
    なお将来的に設置する予定がある場合は、間取りプランを計画する際に、あらかじめ設置する場所を考慮し、吹き抜けや収納・押入れ等のクローゼットスペースをあらかじめ確保しておく必要があります。
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