狭小住宅の空間づくりのポイントー1
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子ども部屋はフレキシブルで柔軟で融通の利く空間を残す。理想の家は、ライフスタイルの変化や家族の成長に合わせて少しずつ変化していくものです。ですから、家を建てたときにすべてが完成しているよりも、将来的に変えることができるフレキシブルな柔軟で融通の利く空間を残しておくことが、未来の暮らしやすさにもつながると思います。
とくに、子ども部屋は、この先使い方を変えていけるように変更の余地を残して設計することが多い場所です。なぜなら、子どもは、成長するにつれて、生活スタイルや趣味嗜好が大きく変わっていく可能性があるからです。
もちろん、大人にしても同様です。新たに家族が増える、趣味や仕事の部屋をつくるなど、“想定外”の変化が、いつ人生に訪れるかもしれません。
20年後、30年後の未来も家族にちょうどいい家“であるためにフレキシブルな空間をつくっておきましょう。
フレキシブルな空間とは、住む人の「人生の可能性も広げてくれる場所」でもあるのです。
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成長と共に変化する8歳の男の子、6歳の女の子がいる4人家族のお宅です。2階にある子供部屋は、天井の高い15畳の広々した空間。お子さんが小さいうちは、家族4人が川の字になって寝る寝室として使っています。ちょっと変わっているのは子供の部屋の中にトイレがあること。
将来、2人のお子さんが「自分の部屋が欲しい!」と言い出したとき、トイレ前の空間が廊下になるように部屋を区切って、それぞれの個室をつくれるようにしているのです。
現在は天井に格子状の梁が張られていますが、板を張れば、大人が立てるロフトにすることも可能です。将来的に、左右で振り分けるか、上下に分けるか選択することができるようになっています。数年後、今よりもっと成長したお子さんたちと相談しながら、変えていく予定です。広い子供部屋でのびのび育ったお子さんから、はたしてどんな希望が出てくるのか、今から楽しみでもあります。 -
子ども部屋はあえて未完成にしておく最上階3階のフロア全体をすべて子ども部屋にした間取りです。階段を上がった先には、無垢のパイン(米松)の床材と天井があたたかな雰囲気を醸し出す空間が広がります。天井や柱は壁材で覆わず、無垢材の雰囲気を大切にしました。
子ども部屋というよりは、多目的なプレイルームといった自由空間。絵本やおもちゃは壁面本棚にすべて収まり、スッキリした状態に保たれます。窓辺には一枚の板材をわたし、子どもたちが並んで作業ができるデスクも作りました。窓からおとなりの公園の樹木を眺めながら、お絵描きや工作に没頭できます。
お子さんが小さいのであれば、壁やドア、クローゼットを建て付けるのは後回しにして、ひとまず大きな空間をつくり、子ども部屋にしてしまう方法もあります。将来的に家に手を入れる楽しみが増えますし、成長したお子さんの意見を取り入れた子ども部屋がつくれるので、結果的には満足度の高い家づくりにつながると思います。
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