狭小住宅でスッキリ暮らす収納の工夫-1
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使い勝手のいい収納は「奥行き」で決まる狭小住宅の収納づくりのルールは2つあります。
1つめは、「量と場所を決める」。施主であるお客様に家じゅうのモノを書き出していただき、その量にあった収納場所と容量を考えて設計します。ただし、狭小地の小さな家に住むからには、収納できるモノの量は限界があります。ご自分にとって「いるもの」と「なくてもいいもの」の基準をより明確にしていただくこと。それが狭小住宅の「暮らしやすさ」につながるのです。
2つめは、ものに合せて「面×奥行きを決めるもの」。ものと収納のサイズが一致していなくては、結局、出し入れが面倒で十分に生かしきれないことは多々あります。多くの人は面にこだわりますが意外と意識されていないのが「奥行き」。食器にあった奥行き、洋服にあった奥行き、寝具にあった奥行きはそれぞれ異なります。あらかじめ収めるもモノを想定してから、面×奥行きの立体サイズを決める、それが使い勝手と省スペースを両立する知恵です。
使いやすい収納の奥行きの目安です。
・洗面所の棚収納・・・・・15~30㎝
・キッチン収納・・・・・・25~30㎝(吊戸棚)
40~60㎝(下の棚)
・本棚・・・・・・・・・・20~30㎝
・クローゼット・・・・・・55~60㎝
・シューズクローク・・・・35~40㎝ -
家事をうんと楽にする、家族共有クローゼット狭小住宅では、一つのクローゼットを家族みんなで使うという発想もあります。こちらのお宅は2階に大きめのウォークスルークローゼットを設け、主寝室、子ども部屋、廊下などから直接アクセスできる「ウォークスルー設計」にしてにしました。
家族全員の衣類を1ヵ所で管理できるので、洗濯物を運んだり、クリーニングに出す衣類をまとめるのがスムーズにできて、家事効率がよくなります。スーツケースやバッグ、ゴルフグッズなど個々の持ち物を家族で共有しやすくなります。
最近は、クローゼット内の造作は、ハンガーポールと高い位置の棚を設置する程度で最小限にとどめることが多くなっています。つくり付けの棚や引き出しは、あとから変更できません。市販の収納家具も充実しているので、お持ちの衣類やバッグに合わせて、ちょっといいサイズを選んだ方が、低コストで使い勝手のいいクローゼットができます。 -
よく使う場所はオープン収納が使い勝手がいい狭小住宅の洗面所は、洗面台と洗濯機にスペースが占領され、肝心の収納スペースが後回しになりがちです。でも、タオルや下着類、ドライヤー、ブラシ、メイク用品など、洗面所は何もかもモノの出し入れの頻度が多く、一日に何度も使う場所です。ボトルやブラシの収納は奥行き15㎝程度が使いやすいので、浅めの収納を充実させています。また、収納内にコンセントを付けておくと、ドライヤーや電気ひげそりの充電にとても便利です。
洗面所のリネン収納はさっと取り出せるように奥行きは浅め、面の多さが重要です。そしてオープン棚だと、何がどこにあるか一目瞭然で出し入れもスムーズです。
こちらのお宅は洗面所の右脇の壁一面に棚を付けました。奥行きは30㎝ほどで充分。ここに市販のバスケットを並べて、タオルや洗剤などを収納。家族めいめいに自分のバスケットを決めておくと便利です。温泉の脱衣所のようなシンプルな棚ですが、工費もローコスト、しかも使いやすいと喜んでいただいてます。
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