oka ブログ

寺社構造設計

2012.11.18

某寺社設計専門の所長より1F:RC車庫、2F:木造平家寺院の混構造建物の構造設計の
相談があった。さて、延べ床面積が500m2超な為、“適合判定”案件、寺院階は機知の通り、
*1.開口が大きく且つ耐力壁が非常に少ない。
*2.階高は高いし、例え筋交いによる耐力壁が設けられるとしても、柱間寸法と階高の比の制約が有り、面材による耐力壁を余儀なくされる。と言っても、面材は建物が寺院で当然、和風建物ということで大壁使用にはならない。
*3.柱脚柱頭に大きな軸力が発生することは容易に想像でき、それに見合う金物は一般木造住宅で採用するような金物(ホールダウンや外部に現れる金物)は使用できない。
詰まりは、許容応力度算定での解析はかなり無理なことが確認できる。
対処策
都内の公的図書館で、この種の建物の設計の研究している(謂わば、大学の先生方の論文を検索し、その中で行政庁が納得するデータ (民間の大手審査機関・・例B.Vなどには門前払いされました)の実験値から層間変形角1/120rad時の水平強度を1.96で除してこの数値を壁倍率とする方法を考えた。詰まり、施行令での壁倍率が制定されていない、“差し鴨居”、“貫”、“小壁(=土壁の下り壁)”等々の水平耐力による壁倍率でこれから、行政庁の担当職員にぶつけていこうかと考えているところである。
前述の柱頭柱脚金物について、当時の棟梁の皆さんは、下図のような納まりを考案し、且つその一つ一つが、現代の計算式による結果を充足する所業であることに敬意を表さざるを得ない。下図を見ると、弊社が採用している金物工法(HSS,TEC-ONE)のドリフトピンが込み栓の役目をしているようにも思える。他に、柱頭(梁勝ち)では、楔(くさび)を打ち込んで
柱と梁を緊結し、しかも応力に対して柔軟に対応する工法には感心するところである。



«  ||  »

関連記事
資料請求