狭小地に家を建てるためにかかる費用の話し
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『狭小住宅の家づくりにかかる費用』狭小住宅の建築でありがちなのが、予算オーバーや思わぬ費用の発生による金銭的負担の拡大です。家づくりには、建物の「本体工事費」以外にも「諸費用」といわれる様々な費用が発生します。諸費用だけで数百万円になることもありますから、金銭感覚がおかしくなります。そのため、家づくりにかかる費用は坪単価や建築費だけで判断するのではなく、「総費用」で考える必要があります。建物の建築工事にかかる費用は、大きく「本体工事費」と「別途工事費(付帯工事費)のふたつになります。
※「坪単価」とは一般的に、建物本体工事にかかる費用を延べ床面積の坪数で割った金額。 -
■本体工事費(建築工事費)家そのものをつくるためにかかる費用で、どれくらいの費用がかかるのか、ある程度想定しやすい部分でもあります。例えば、基礎や柱、梁、床組み、小屋組みといった構造部分など。そして、屋根、外装、床、壁、天井などの板金工事や塗装工事、左官工事、玄関ドアやサッシ、内部建具、キッチン、トイレ、システムバスなどの住宅設備、建物内部の配管や配線が含まれます。これら工事費用に、専門業者や職人さんの手間代を加えたものが「本体工事費」です。
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■別途工事費(付帯工事費)建てる土地の条件やオプションをつけるかどうかで金額が大きく前後します。(付帯工事費)とも呼ばれ、敷地の状態や周辺環境によって発生する「別途工事費」は異なります。まず、敷地内へ配線や配管を通すための屋外工事、メーターや公共マスを設置してライフラインを使用できる状態にするための引き込み工事があります。もともと住宅地じゃなかった土地に家を建てる場合、工事費は数百万円に上がることもあります。また、地盤調査の結果、軟弱地盤と判定された場合は地盤改良を行いますが改良工事の方法によって金額はかなり異なってきます。このほか、既存の建物がある場合は解体費用を取られることもあり、鉄骨や鉄筋コンクリート造は木造よりも少し割高になります。更に敷地条件として、傾斜地や高低差のある敷地であれば造成工事や擁壁工事、特殊土木工事といった対策が必要になります。さらに前面道路が狭く工事車両が入れない立地であれば、材料を手運びするための小運搬費がかかります。特殊な条件や立地であるほど費用がかかることがわかります。「別途工事費」は、本体工事費以外に生じる必要な工事費用に加え、いわゆるオプション費用も含んだものです。照明器具など必要最小限のものは本体工事に含まれますが、追加分は別途扱いとなることがほとんどです。造作家具や窓、シャッターなども含まれます。カーテンやブラインドも窓サイズを変わった形にすると、カーテンなどをそれに合わせたオーダーメイドにする必要が出てきます。冷暖房空調は配管や配線は本体工事ですが、機器本体の設置など大金が予想される上、別途工事になるのであらかじめ予算を取っておきたい部分です。また、庭に砂利やコンクリートを敷く、木を植える、塀や柵を建てるなどの外構工事も別途工事に含まれます。こだわればこだわるだけ高く付くのが別途工事費なのです。
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『狭小住宅の家づくりにかかる諸費用の話し』住宅会社と契約したら竣工して住み始めるまでの数ヶ月の間に十数万円という出費がどんどん発生するため、現金は多めに準備しておくことが必要です。さらに家を建てると「4つの税金」がかかることも覚えておきましょう。
1、不動産取得税
「不動産取得税」の税額は固定資産評価に3%の税率を掛けて算定され、家を建てて半年~1年半ほどの間に納税通知書が届きます。
2、固定資産税
「固定資産税」は毎年1月1日時点での固定資産の所有者に対して課税されるものです。評価額(特例が適用される場合はさらに特例率をかけた課税標準額)に1.4%の税率を掛けて算定されます。不動産取得税と都市計画税の算定基準となります。固定資産税評価額は高性能、高品質な資材や設備によって評点がアップし、税額も上がります。
3、都市計画税
「都市計画税」は1月1日時点で市街化区域内に固定資産を有している場合に納める地方税で、固定資産税と共に課税されます。
4、印紙税
建築工事の請負についての契約書は印紙税額一覧表の第2号文書「請負に関する契約書」、住宅ローンを金融機関から借り入れる場合に締結される契約書は第1号文書「消費貸借に関する契約書」に該当されるため、それぞれ契約書に記載された内容および契約金額で定めれれた印紙税額を納めます。
※参考:東京都主税局「不動産取得税」
東京都主税局「固定資産税・都市計画税(土地・家屋)」
国税庁タックスアンサー
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■登記関係でかかる費用登記には「登録免許税」と呼ばれる税金など、費用がかかります。
家を新築した場合、必要な登記は「建物表題登記」と「所有権保存登記」です。所有権保存登記の税額は課税標準額に税率0.4%を掛けて算定しますが、住宅を新築した場合は0.15%の軽減税率が適用されます。また、住宅ローンの融資を受ける際には、「抵当権設定登記」が必要となります。この場合の税率には0.1%の軽減税率が適用されます。
家の新築時の表示登記(不動産を特定するための建物表題登記)と古屋を解体して建て替える場合の滅失登記は、いずれも登記免許税はかかりません。
※参考:国税庁タックスアンサー
司法書士に登記を依頼する場合は司法書士報酬が必要です。
以下の金額を目安としてください。
□表示登記・・・・・・8~10万円
□保存登記・・・・・・2 ~ 3万円
□抵当権設定登記・・・3 ~ 5万円
□滅失登記・・・・・・3 ~ 4万円
※すべて2023年現在 -
『住宅ローン関連費用』住宅ローンの融資を受ける際には、金利のほかにも様々な諸費用が発生します。
※以下、すべて2023年現在
■事務手数料
事務手数料は「定立型」と「定額型」があります。
定立型の場合、借入額に2%程度の料率を掛けて金額が手数料となるため、2,000万円のローンを組むと事務手数料は40万円となります。定額型の場合は一律3万~5万円程度に設定されていることが多く、選択するローンによって金額差が大きく出ます。
■保証料
2%程度の保証料率を設定している保証会社が多く、30年以上の返済期間の場合、100万円あたり2万円前後の保証料を支払うことになります。
保証料無料の金融機関もありますが、その場合は金利が高めに設定されていることもあります。金利や保証料を含めて、どのローンが自分たちにとって有利か判断が必要です。
■団体信用生命保険料
ローンの契約者が死亡したり、高度障害になった際にローン残金を返済してくれる保険で、ほとんどの住宅ローンではこれに加入することが必須条件となっています。また、すでに加入している生命保険や保障と重複しないか、保険の見直しもこのタイミングで行うのがベストです。
■火災保険と地震保険
住宅ローンの多くは、火災保険への加入の条件として、保険金額は建物が損害をかぶった際、同等の建物を再建築するために必要な「再調達価額」を基準に算定されるのが一般的です。
火災保険だけだと地震などを原因とした火災による損害は補償されないため、火災保険と地震保険にセットで加入するのがおすすめ。備えは万全にしましょう。
■つなぎ融資にかかる費用
住宅ローンの融資実行は、引き渡しと同時に行われます。注文住宅の場合は契約金、中間金と、引き渡しまで複数回に分けて支払いが発生するため、住宅ローンの融資実行までのつなぎ融資として利用するのが、つなぎ融資です。
つなぎ融資の金利は2~3%程度と水準が高く、住宅ローンとは別に諸費用が発生する場合もあります。返済は住宅ローンの融資実行と同時に行われます。金融機関によってはつなぎ融資を扱っていないこともあるので確認が必要です。
■そのほかにかかる費用
このほか地盤調査に関わる費用として、建築確認・中間検査・竣工検査に必要な証紙代、給水装置引き込み費や浄化槽管理費などの負担金、地鎮祭や上棟式をする場合はその費用も必要です。
これを含め、自己資金として50万~100万円ほど用意しておきたいところです。そのほか、引っ越し代や家具家電を購入する場合の代金も別途必要です。
■費用発生のタイミングに注意
工事費や諸費用は一度にまとめて出ていくわけではなく、工事のスケジュールに合わせ、数回に分かれて支払いが発生します。「また?」みたいなタイミングで何度かやってきますので、支払いのおおまかなタイミングをあらかじめ確認しておくことが大切です。 -
『狭小住宅の家づくりで予算オーバーしないための注意点』■グレードアップで予算オーバー
住宅会社が標準で用意している仕様変更によるコストアップです。住設メーカーのショールームでグレードの高いものに惹かれて、あっという間に予算オーバーもあり得ます。グレードアップや追加工事が発生したときのために、当初の提示金額からどこがどれだけ増減したかがわかる一覧表を住宅会社側に作成してもらえると便利です。また、どこにお金をかけたいのか、どこは妥協できるのか(例えば、お風呂は妥協しても、キッチンにはお金をかけたい。等々)。自分の中で整理しておくことも必要です。
■施主支給
エアコン本体は自分で購入し、工事から配管までの請負を含め、電気屋さんに依頼することなどが、施主支給です。住宅会社に丸投げすることもできますが、数十万も違うこともあり施主支給という手もあります。カーテン、照明器具のほか、造作家具は高くつくこともあるので、家具なども基本的には施主支給という手もありです。施主支給にかかる費用は住宅ローンの対象外なので、自己資金と相談しながら決めていく必要があります。
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■予算決定はトータルで考える建替えとは別に、気に入った土地を購入し、そこから家づくりの計画を進める人も多いと思います。しかし、土地にお金をかけすぎて希望どおりの家が建てられなくなるのは悲しい話です。土地購入から家を建てる場合は、予算計画には諸費用を含めて総合的に考える必要があります。住宅会社によっては全てを含めた予算計画書を作成してくれるところもあり、何にどれだけ資金を使うことがイメージできるようにしてくれるところもあります。
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